島にはすっかり冬が訪れました。
五島列島は冬になると大陸からの季節風(北西の風)が吹き荒れる日々が多くなります。
風が強いと海が荒れる日も多くなり、船が欠航することもよくありますし、何より寒いです。
風速は1m増すごとに体感温度は1℃下がると言われています。
気温が0℃を下回ることはあまりない島ですが、気温が6℃であったとしても体感温度は0℃になります。
五島の冬の寒さは数字には表れにく寒さです。身に染み込む寒さです。
さて、寒くなると電気や灯油を含めたエネルギーの使用量は多くなります。
実は、島のエネルギー費は全国平均よりも高いです。
当然のことながら離島だからです。
ガソリンは完全な車社会にも関わらず、全国平均より常に20円ほど高いですし、
ガス料金、灯油料金もなかなかです。
そのエネルギーの多くは海外から調達しているわけなので、この島でもエネルギー費は高騰を続け、
物価高はみなさんのお住まいの地域と同じように進行しています。
ちなみに五島市の平均世帯年収は363万円というデータがあります(HOME’S 住まいインデックス)
これは全国平均より140万円ほど低く、長崎県内でも最低レベルです。
では、エネルギーコストが高く、物価上昇にも歯止めがきかない状況で
給与水準が低い離島では生活が成り立つのかというと
意外と成り立つのです。
経済の全体像をつかむには収入だけではなく、支出も見なければわかりません。
五島市の一世帯あたりの年間支出額は平均135万円と全国平均より52万円下回るそうです(上記データ)。
住居費や食費が低く抑えられているからだと思います。
住居費は離島ですから、低いというのは想像できるとして、食費が低く抑えられる要因としては、島内の食糧資源の豊富さと自給率の高さや地域社会の交換経済がまだ健在であることなど考えられます。
完全自給自足はよっぽどエクストリームなライフスタイルを取らない限りは無理だとしても、それに近いことは本気になればできなくもない可能性はあります。
私、KEIは4年半前に東京を拠点とする生活をやめ、五島に来ました。
その間、コロナ禍があり、長期にわたる外出自粛、ようやく耐え抜いたかと思えば、
ウクライナ戦争が勃発し、コロナ渦からの急激な需要回復と相まってのエネルギー価格の高騰、物価高、そして今度は増税まで・・・と目まぐるしく生活条件が悪化していく状況を見つめながら、この状況で東京に暮らしている自分を想像してみては、そこを離れる判断をしたことは自分にとっては良いことだったと思います。
私は徒に「五島が東京よりも良いところ」だとか、ある地域が他の地域より優れているというような話は不毛で無意味だと思ってます。
どこも「良い点もあり悪い点もある」のが現実です。
ただ、私にとっては、五島という地に暮らすことで気付かされたことは数多いです・・・
家から数分のところに手付かずの自然があることや、
少しがんばって手を動かせば、食べ物を作ることができるということ
魚を釣ったり、さばいて食べる能力に目覚めるということ。
自分の手が何かを生み出したり、殺したり、作り出す力を持っていることを知ること。
そういう環境にあることが、心にどれだけの恵みと安らぎ、そして生きる実感を与えるものなのか?ということに気付かされたのは大きなことだったと思います。
今後の世界は、エネルギーコストの高騰や物価の上昇が続き、生き延びるためには、
もはやお金だけでは解決できない問題が多々でてくるでしょう。
そして生き延びるためには生活スタイル自体を見直さなければならない、
身の回りの資源をもう一度、見つめ直さなければ
暮らしていくこともできない・・・そんな時代がやってくるでしょう。
そうした時に五島やte to ba〈手と場〉がそんな時代においても豊かに生きられるヒントが見つかる場になれるよう考えて行動していきたいと思っています。
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