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kei umezawa

「手と場」の森を育てる




五島には春がやってきました。



春は寒い冬のあいだ土の中で静かに落ち着いていた生命が一気に外の世界に向かって

芽吹きます。



「手と場農園」も動き出します。



今年からは「藍染(あいぞめ)」をやってみたいと思ったので、まずは藍を育てることから。





・・・ということで、去年はほぼサボっていた畑の草刈りをし、耕しました。

畑は10アールほどあるので、人力で管理し続けるのは無理だなと思い、

今年はミニ耕運機と草払機も購入。





 ですが、やはり長年、放置されていた畑なので、土の状態はあまり芳しくなく、土壌改良の必要があります。粘土質で、団粒構造もあまりない(生き物があまり活動していない)。



すぐに生産的な畑にしたければ、大量に堆肥をすき込み、しっかり耕うんして、化成肥料を使えば良さそうですが、それでは「手と場」としては面白くないので、じっくり時間をかけて、色んな生き物や微生物がわいわいがやがやしながら、作物が自然と育っていくような場所にしようと思います。


「面白くない」と言ったのは、「手と場」は「手と手を合わせて場をつくる」がテーマなので、色んな生き物とも手と手を合わせながら作る畑でなくてはやる意味がありません。


具体的には、緑肥やカバークロップという土の排水性や吸水性を改善する植物を育てながら、土の中の有機物を増やして、微生物を増やし、協力しあう環境を整えようと思います。



お隣の畑の主人さんに、「草なんか残してたら、絶対うまくいかないよ。除草剤で除去して、トラクターで耕うんしてからじゃないとダメ」と笑われましたが、「素人の遊びだと思って、馬鹿なことやってるな〜って見守っててくださいw)と答えます。



「失敗するのが目に見えてるよ」



いいんです。失敗しても。失敗しながら学ぶのが楽しいのです。

私は慣行農法もちゃんとリスペクトしています。「私が正しい」とは一切、思っていません。「私にとって正しい」ことをやるだけです。



ところで、畑の横には雑木林が密接しています。





こちらも長年、人の手が入っていなかったので、ツル植物が繁茂して、薮になっていました。林の中は薄暗く、風通しも悪くて、どよーんとしていたので、「薄気味悪いな」と思って中には一度も入ったことがありません。


ですが、畑をちゃんとやろうとすると藪は光を遮ったり、風通しを悪くしたりしているので、手を入れることに。


ひたすらツル植物を払い、木々の暴れた枝などを落として、風と光の通り道をつくります。




 すると少しずつ森の全貌が見えてきます。

これは、コナラでしょうか? クヌギでしょうか?

かなり立派です。この木は落葉広葉樹ですが、大部分はカシなどの常緑広葉樹・・・いわゆる照葉樹林で、昔ながらの「里山」と呼ばれる森のようです。





かつては、しっかり管理されて、燃料として使う薪の切り出しなどに使われていたのでしょう。ツル植物や枝をある程度、取り払った森の中は、木漏れ日がさしてうっとりするほど美しかったです。





 ところで森の中の土は、畑の土とは比べものにならないぐらい、しっとりして、ふわふわしています。いわゆる腐植土で、たくさんの微生物によって落ち葉や枯れ木が分解されてできたものです。いずれ、畑の土もこんな風になればいいなと思いますが、長い年月がかかるでしょう。


少しだけ森の土をいただいて、畑にばら撒きます。畑の土にも微生物たちに暮らしてもらいます。


少しずつ少しずつ・・・いろんな生き物やひとが集まって、ワイワイガヤガヤと楽しそうにしている森と畑が育っていくのが楽しみです。



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